青色茶碗

思考回路をクールダウンさせるために更新するブログ。AM0:00~AM8:00の間に投稿することが多いです。

あの日々アキバ、紅茶まんじゅう

2011年。

 

震災後、地震に対する恐怖が強くなった。

家の近くを車が通ったり、強い風が吹いたりするたびに、動けなくなって、揺れてるかどうかを確かめるようになっていた。

 

テレビを見ることがつらくなった。速報の音も、それを見ることすらも、心が痛くて、好きだったバラエティ番組もしばらくは見れていなかった。

かといって、ゲームをしたり絵を描いたりというのも、現実をそのまま感じ取っているようで、揺れに怯えてしまい集中できなかった。

 

リアルタイムの映像や情報を遮断するためには、なにか他に映像を流すしかなかった。

現実から遠い映像といえばアニメだろうか。

毎週、レンタルビデオ店に通い、アニメのDVDを借り続けた。記憶が曖昧だが、旧作なら5本まで、新作を含めても4本までは1,000円くらいで借りれたはずだ。

 

色々借りた中で特にハマったのが「けいおん!!」だった。第1シリーズである「けいおん!」も、もちろん見たし、それも含めてハマった。

日常が描かれているので、現実に近いストーリーではあったが、穏やかに進んでいくので安心して見ることができたし、キャラクターも平和的だった。

 

家に誰もいない時間帯は、起きていると揺れを感じ取ってしまい苦痛だったので、極力寝て過ごしていた。

ただ無音で寝るのも怖かったので、「けいおん!!」をオールリピート状態で流し続けて寝ていた。

けいおん!!」を見ながら寝て、唯ちゃんやあずにゃんの話し声で目覚めて、また寝て。

怖くて何も出来なかった時期の週末は、ずっとこうしていた。

 

けいおん!!」にハマり、他のアニメも見漁るようになって、私は秋葉原という街に興味を持ち、秋葉原へと向かった。

 

アニメグッズのお店のエレベーターは、なんかいい香りがしていた。

ガチャガチャが、どこにでもあった。

ガチャガチャで、当たりを引いて、デカイ缶バッジをもらった。

ガチャガチャで、やたらシークレットを引いた。

正月に行くと、福袋が沢山売っていた。

特価のフィギュアを大量に買った。

 

秋葉原の街も、今はだいぶ変わったけれど、まだ2011年は、色んなものが変わる直前くらいだったと記憶している。

秋葉原は度々訪れていたが、お土産を買う時には、「けいおん!!」のまんじゅうを選んでいた。

単純に「けいおん!!」が好きだから最初は買っていたが、これが紅茶葉入りの、ちょうどいいサイズのまんじゅうで、とても美味しかった。放課後ティータイムのシンボルマークの焼印が押されていた。

以来、毎回アキバに行くたびに、このまんじゅうを買っていた。

 

2011年のアキバは、震災後の、これから頑張ろうという人々の思いと、元々のにぎわいとで、その時にしか感じられない空気があったと思う。自分の心もそうさせていたのかもしれない。

 

おそらく、いまはもう、「けいおん!!」の紅茶まんじゅうは販売されていないと思う。

でもさっき、紅茶の香りがするまんじゅうを食べたとき、ふと、当時のアキバでのことを、街の景色を、思い出した。

 

たぶん、2011年のことを思い出したのはそれだけじゃなくて、先日訪れた青森で大きな地震があったからというのもあるだろう。

ちょうど、1週間前に訪れた場所だった。

「こうやって地震とかあるから、知らない街や遠い場所には行かないほうがいいんだよ」と言われたが、私はそうは思わない。

どこにいようと、自然災害は起きるし、他にも危険なことはある。

5年、10年どころか、1年でも変わりゆく世界。1日でもなにか変わるかもしれない。

そんな中で「いま!」と思った時、その場所に行くことは、今その時にしか感じられない空気や土地を、記憶に残し、自分の人生の中に刻むための大切なことだと思っている。

本当に危ないとわかっている時は行かない。それは自分の身を守るため。

だけど、何も起きてない時にこそ行くべきと思う。

なにか起きてから「ほら、あの場所は危ないんだよ」なんて、おかしな話だ。いま置かれている場所でさえ、100パーセント安全だとは言いきれないはずなのに。

 

 

あの日会った、やさしい人たち。素敵なお店。素敵な会場。美味しかったラーメン屋さん。

どうかご無事で。

いつか、になってしまうけれど。

また行く。青森へ行く。