青色茶碗

思考回路をクールダウンさせるために更新するブログ。AM0:00~AM8:00の間に投稿することが多いです。

終日禁煙時代

駅のホームで、煙草を吸っている人がいた。

 

「当駅では終日禁煙となっております。

皆様のご協力をお願いいたします。」

 

駅でよく聞く放送。

禁煙、分煙が進んだ時代。もうさすがに、駅の喫煙所でもない場所で吸う人はいないだろう、と思っていた。

でも、いたんだ。

駅の隅で、人目につきやすいけど、人混みから離れた場所で吸っている人が。

 

マナー違反だが、申し訳なさそうには見えなかったが、俯きながら静かに吸っているその姿には、切なさを感じた。

お店に行けば、喫煙スペースは別で設けられている。最近ではそれすらも消えて、完全禁煙の場所もかなり多くなったと感じている。

その人はおそらく、駅のホームで喫煙しても許されていた時代に、バリバリ働いていたのだろう。とはいえ時代の移り変わりは肌で感じてるはずだ。

この時代に、この人はなぜ、ここで吸っているのか。利用者が決して少なくない、混んだら列だって普通に出来るようなこの駅のホームで、なぜ吸っているのか。

家で吸うことが許されず、ベランダで吸うことも許されず、家族に追いやられてしまったのだろうか。なにかかなしい事でもあって、吸わずにはいられなくなったのだろうか。そんな大したことはなく、じつは以前からここで吸っているのだろうか。

 

もう一度言うが、マナー違反ではある。このあと駅員に注意される未来も見える。

それでも、駅のホームで煙草を吸う人の存在が、現代では見れないものだと思っていたので、驚きと共に、昔は許されていたんだよなと、その人に僅かながら内心同情した。

 

調べてみたら、駅のホームが全面禁煙になってから10年は経っているようだが、それ以前までは吸える場所があったということだ。10年と言うと、最近のことに思える。

あの放送の存在意義を初めて感じた瞬間だった。

 

ちなみに私は非喫煙者だ。一度も煙草を吸ったことがない。

しかし喫煙者のことを嫌ってはいない。煙草の香りも、直接吹きかけられない限りは良い。目の前で吸われるなら、電子タバコや加熱式タバコより、紙タバコがいいと思っている。

喫煙者の、肩身が狭くなっていく感覚は、あまり分からないけれど、そこまで追いやらなくてもいいんじゃないかな。煙とか有害ではあるけど、なんか綺麗になりすぎちゃってる気がする。