今週のお題「10年前の自分」
本当に、今ちょうど、10年前のことについて思い出していた。
その事について書こうと思いブログを開いたら、今週のお題が「10年前の自分」だった。
奇跡。自分で言っていいのか分からないけど、私は昔から豪運の持ち主だし、こういう プチ奇跡から大きめの奇跡まで起きやすい。
10年前。
バイト先で毎回怒鳴られ続けて心が削られていた。
毎晩泣いていた。泣きすぎて最初はまぶたが腫れていたけど、いつからかまぶたが涙に慣れて、腫れなくなった。
周りからは、バイトが楽しいかどうかよく聞かれてた気がする。怒鳴られてるんだと話しても、気にするなと言われていた気がする。全部、気がするだけで自信がない。記憶が曖昧だ。古すぎて曖昧なんじゃなくて、あまりにもつらくて、苦しくて、記憶に残せていない。
「楽しくない」「苦しい」
「辞めたい」「生きたくない」
言えなかった。こんなことハッキリと誰にも話せなかった。
代わりに、ヘラヘラしながら「なんかしんどくてさ〜やばいんだよね〜」とか話してた、気がする。
心の中はズタズタなのに、なんでいつも他の人の前ではヘラヘラしてるんだろうって自分でも不思議だったけど、たぶん心配されたくなかったんだと思う。心配させると、その人の顔から笑みが消えてしまうから、それが心苦しくて嫌だったんだと思う。
バイト代を自分で使った記憶はほとんどなくて、親から「貸して」とお願いされて少しずつ引かれていった。自分で稼いだお金を自分で使えないなんて変な話だと思う。
死にながら生きてる感覚だった。
10年前。
泣きすぎて枯れ果てた目で、R-1ぐらんぷり2015をぼんやりと見ていたら、マツモトクラブという人が突然現れた。現れた時点で光に見えた。久々に心に光が届いた。
CM前に階段を駆け上がる姿は今でも忘れられない。その後に見たストリートミュージシャンのネタで、久々に心の底から笑った。お賽銭のネタも面白すぎた。
この時期の詳しい記憶は、恐怖や悲しみが強すぎてほとんど消えてしまったけど、マツモトクラブという人を見た時間だけはずっと覚えている。
一晩で心の中に光がさして風が吹いた。
この日にテレビを見てなかったら、R-1ぐらんぷりを見てなかったら、私はどうなっていたか分からない。
10年前。
青梅に行った。赤塚不二夫記念館にも行った。昭和の広告やお菓子、家電などのコレクションが展示されてる場所にも行った。街の看板やバス停にも昭和の空気が残っていた。
レトロなものがずっと好きだったので大興奮。梅味のソフトクリームも食べた。
新宿に行った。人が多い。新宿駅はデカイ。まだ新宿ミロードも、小田急もあった。東南口に出たので、アルタは見つけられなかった。
夕方、西日に照らされ、まだ少し冷たい風を感じながら、椎名林檎の曲を聴いて歩いた。その歩いていた道が、椎名林檎の楽曲にも出てくる「甲州街道」だったことは、だいぶ後になって気づいた。
浅草に行った。雲ひとつない青空の下で、桜が満開だった。
ある店の前では茶色い猫が丸くなっていた。あまり警戒されず、頭を撫でたら気持ちよさそうな表情をしていた。
恥ずかしがりながら顔ハメ看板に顔をはめている自分の姿が何枚か写真に残っている。この顔ハメ看板、今もあるのかな。
10年前。
バイトを辞めた。いい思い出のないバイト先で稼いだお金を貯金しておくことが嫌だった。そのお金を見るたびに怒鳴られていた時の恐怖が蘇ってしまうから。使うことで嫌な記憶を消せるような気がしていた。そのお金の殆どは、お笑いライブを見に行くことに使った。
お台場に行き、そのまま千葉の幕張まで行ったこともあった。当時の自分にとっては、かなり長距離の旅だった。
お台場には、4組の芸人さんが合同で開催したDVDの発売記念イベントを見に行き、幕張には片桐仁さんの「ギリ展」を見に行った。イオンモール幕張が想像の何倍も大きくて広くて、帰りはフラフラになっていた。
ダイバーシティ東京プラザも、駅ビルも、イオンモール幕張も、ジーッと見上げていた。すごく遠くにあるんじゃないかと思うぐらい大きかった。都会に圧倒された。
10年前。
草津に行った。草津熱帯圏でワニの剥製に噛まれてるみたいな写真を撮ったり、カピバラにエサをあげたりした。
牧場でヒツジと戯れた。雨が降っていたのでモコモコはみんな濡れていた。
珍宝館にも行った。まだ当時の自分には少し刺激が強かったが、芸術作品としてどれも素敵だった。
渋谷に行った。ハチ公前に出た瞬間から、人の多さと、光の多さに驚いて、数枚写真を撮った。驚きすぎて、全てがブレている。今は無き東急百貨店も写っていた。
夜の都会は未知の世界だったので怖かった。街を歩く時は、わざと目つきを悪くして、全身に力を入れて歩いていた。
10年前。
作文コンクールで優秀賞をもらった。
あるボランティアを体験した上で書いた感想文だったが、半分くらいは「現状を改善するにはこういう問題を解決する必要がある」みたいなことを書いていて、「楽しかった」「貴重な体験が出来た」「素晴らしい活動だと思った」みたいな良い感じの事は書かなかった。
入賞など少しも期待していなかったので意外だったが、この経験が、いま「はてブロ」を更新してることに繋がっている。
そして今。
毎日が楽しいし、変わらずお笑いが好きだ。
感情を表に出すのは苦手だけど、無理をすることは減った。
それぞれの街はこの10年で大きく変わった場所も多い。寂しさはある。
変わらないものなんてない。だからこそ今を大切にしたい。
10年前までは、「写真を撮るよりも目に焼き付けたい」と思って写真をあまり撮っていなかったが、意外とすぐに忘れてしまうから、写真を撮ることも大事だなと思ったりしている。あとで見た時にも何があったか思い出せるし。
あと、今の自分と10年前の自分が同一人物に見えない。変わりすぎている。
当時会ったことのある人が、今の自分を見たところで「あっ!あの時の!」とはならないだろう。鶴の恩返しで助けた鶴と、家に訪ねてきた女性ぐらいの大きな違いがある。
なる人がいるならば奇跡だ。
でも私はそういった奇跡が起こりやすい。
案外いたりして。
…いや、これは無いな。