休日や大型連休になると、親と、自分と、親の恋人の3人で出かけていたが、親の恋人が物に八つ当たりをしたことがきっかけで、私はこの家に対して心を閉ざし始めた。
口では「あなたが一番大事だ」と言ってくる親。しかし行動や態度からはその想いが感じとれない。その場しのぎの、物事を曖昧にするハグと涙は何度も見てきたけど、見すぎていまは信じられなくなっている。
休日や大型連休にショッピングや旅行に出かけていく、親と恋人。私を置いてどこかに行く。
子どもの頃、親が夜遅くまで帰ってこない日が何度あったか分からない。飲み屋で惚れたマスターと大喧嘩をしたからって、私が図工の授業で使おうとしてたお菓子の空き箱をベコベコに潰されたこともあった。
心配性だった私は、親が帰ってこないことに強い不安を感じて、帰ってくるまで眠れず、深夜2時頃まで起きていることもあった。
親の離婚により複雑な感情を抱いていた時も、受験勉強をしていた時期も、就職活動をしていた時期も、社会人になって数日しか経ってない頃も、親は特別変わることはなかった。
私は幼い頃から空気を読む子で、常に静かで、子どもらしく暴れることもなく、ワガママも言わないようにしていたから、ある程度放っておいても平気だと思われていた。それゆえに、色んな場面で一人にされていたのだと思う
一番、心の支えが欲しい時に、支えがなかった。
親は、子どもの私よりも、子どもみたいな恋人の面倒ばかりを見ていた。
物理的、金銭的な支えも十分とは言えず、心をバキバキに折られながらバイトを頑張り、わずかに得られた給料は、自分の食費と携帯代にほとんどまわしていた。
時々親が帰ってきて、玄関先に数千円だけ置かれていたりしたが、それも食費としてすぐ消えていき、結局バイトの給料を削る日々。貯金をしたかったができなかった。専門学校は諦めた。そもそも家庭的に無理だからね、と、それらしい理由をつけて。現実的にもその理由は間違ってなかったけどかなしかった。成績がトップだったというのもあって、奨学金制度も申請したら受けられる可能性はあったはず。でも受けなかった。学生としての日々を続けて行ったところで自分の負担が増えるだけだと思った。
子どもの頃から10年以上接している、親の恋人。私は一度も家族だと思ったことがない。親を泣かせて私のことも怖がらせてくるような人間を、私は家族だと思いたくない。
この気持ちも親には子どもの時から伝え続けてきた。その度に「あなたが一番大事」と言って別れるとか出ていくとかいう話があがったが、実行されたことはない。
きっとこれが答えなんだと思う。その行いに答えが出てるのだと思う。
「10年以上も一緒にいるならもう許してやればいいじゃない」
「親の好きなようにさせてあげたらいいのに」
色々言われた。でもそれらを言ってきた人と私の過ごしてきた環境は全く違っていた。
なぜ相手にばかり合わせ続けないといけないのだろうか。今更始まったことでは無くて、10年以上続いてきた事だ。
子どもとして甘えたかった時期を半分以上潰した。自分の中で湧き出てくるワガママはすべて押し殺して、縛り付けてきて、大人しい子だと言われるほど静かにしてきたのに、まだこれを続けないといけないというのか?一生続けるべきというのか?
私は大人しい子だった。子どもらしくわがままを言うこともほとんどなかった。ゆえに自分の中では部分的に時が止まってるようだ。
ああ、そうか。存在してるということに慣れて、大切さが分からなくなったのかもしれないな。お互いに。親は親で私が家族として存在している事が当たり前になって、なんでも「まあいいよ」「大丈夫」と言うことも当たり前だと思われてるから、適当になっちゃってるのかもね。近い存在であればあるほど雑になっているのだろうな。
私は私で親が存在しているということ自体に、それだけで有難いよって感謝しなければいけないのかな。愛とか当たり前のように与えられるもんだと思うなよってことかな。
親のことを悪く言うなとか感謝しろとか、分かるよ。自分だって負の感情みたいなものを親に対して抱きたくて抱いてるわけじゃないよ。
でも、あるよね。履き始めたばかりの新品のスニーカーとかでも。最初のうちは大事に履くけど、年月経ってきてそこまで靴にこだわってるわけじゃなければ多少なりとも扱いが雑になったりするでしょ、きっと。それと一緒なんだろうね。
いつになったら親と「家族の時間」を過ごせるのだろうか。もう、あきらめたほうがいいか。
いつか親と恋人が別れたら、親と自分が失った家族の時間を取り戻せるかもしれない、なんて期待している自分がどこかにいる。
取り戻すってなんだよ。子どもの頃にしか過ごせない時間は取り戻せないだろ。
考えれば考えるほどに自分が悪いんじゃないのかとか考えたりして気持ちが沈んでいくので、この話は終わり。
外の世界って楽しい。
趣味とか仕事とかも楽しい。
大好きな人達に会える日々が幸せだ。
ひとつダメだなぁって思う線があっても他の線があるから大丈夫って思える。
どうにか生きてこれて良かった。