私は昔から、流行りものには乗っからないようにするタイプだが、それでも流行ってるものに惹かれると、ツンデレになりながらもしばらくハマったり、人生経験を増やすためと思って体験してみたりする。
例えばムシキング。当時は大人気のカードゲームで、ゲーセンに行けば長蛇の列が出来ていた。
同時に、ラブandベリーも流行っていた。
そんな時代に私は、ラブandベリーにはハマらず、ムシキングにハマった。
流行りものには乗っからないという自分の中に既にあった意識の中で、せめて逆をいこうという僅かながらの抵抗だった。
最終的にカードホルダーまで買ってカードを管理するぐらいには持っていた。
あと、ムシキングは簡単に言うとジャンケンをするゲームだったけど、敵が出す手を予測できず困っていた時に、隣で同じくムシキングをしていた知らない男の子が「パーだよ」「次はグー」と教えてくれた。人生で初めて男の優しさに触れたのはその時だったかもしれない。
小学校で絵の具セットのカバンを注文する時も、男の子はドラゴン柄が多く、女の子も同じひとつの柄に偏りがちだったが、私は学年でも片手で数える程しか選ばれていなかった地味な色のカバンを選んでいた。
そうやって、流行りものや人気に流されることなく過ごしてきた。
ここ数年で定着しているであろう、推し活。
その中で個人的にメインのアイテムだと思うのは、アクリルスタンドだ。
最初の頃は「アクリルスタンド?フィギュアのほうがよくない?ただの透明な板やんけ」と思っていたので全く手を出すことは考えていなかった。
しかし、仕事上でアクリルスタンドのデザインデータの作成をし始めてからその考えが変わり始めた。仕事場でたくさん目にしているからか、自分で作ってるからか、アクリルスタンドそのものに対して愛着が湧いてきたのだ。
こうして、昨年までひとつも持っていなかったアクリルスタンドだが、今年に入ってから12体も増えた。
アクリルスタンドを欲しいと思ってる人達が何を目的として、何が良いと思って買っているのかは未だによく分からないが、自分的には「切り抜きの美しさ」に惹かれている。
「おお!髪の1本1本まで切り抜かれてる…!」
「なるほど、そこはそう切り抜くのか…美しいな」
「こんなわずかな隙間も逃さず切り抜かれている…」
そうして、アクリルスタンドになっている人物やキャラクターに対しての愛情よりも、曲線美や細部に対して感動している。
アクリルスタンドの楽しみ方がこれで合ってるのかは分からないけど、合ってるかどうかはどちらでもよいさ。自分が楽しめてればそれでよい。
ぐぬぬ、流行りものにハマってたまるか…別に流行ってるから買うわけじゃないんだからね…と内心どこかでツンデレな感情を抱きながら購入している。そもそも私は「推し活」という言葉や行為があまりわかっていないし、そこに乗っかるつもりはない。
私はアクリルスタンドを「記念品」として、「記憶」として購入している。
病気などを経て、人間の記憶は意外と失われやすいのだと気づいてから、写真を撮ったり、形に残るものとしてなにかを買ったりして、それを見た時に思い出せるようにしている。そのためのアクリルスタンドだ。
壊さないという自信が無いので、アクリルスタンドを持ち運んだり、透明なポーチに入れたりはしないけど、普通に立てて飾って「素敵だな…曲線美…」と思いながら眺めることはある。
流行りものには極力乗っからないし流されないけど、全く流されずにいると柔軟性が失われるような気がしている。
程よくハマってみる、やってみることも、たまにはいいのかもしれない。